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貧血と山登り
貧血があるけれど登山をしても大丈夫?

 貧血とは血液の中にある赤血球という成分が少なくなってしまう病気です。赤血球は肺から全身へ酸素を運ぶ働きをしており、これが少なくなると「疲れやすい」「息が切れやすい」といった症状が現れます。ちなみに、「立ち上がった時にふらつく」「長くたっていると気が遠くなる」といった症状を貧血と呼ぶことがありますが、これは医学的には「起立性低血圧」で、ここでいう貧血とは別のものです。

 原因として一番多いのが鉄分の不足です。赤血球の重要な成分であるヘモグロビンという物質は鉄がないと作れないため、体内の鉄分が不足すると貧血となります(鉄欠乏性貧血)。極端な偏食がなければ、必要な鉄分は食べ物から摂ることができるのですが、何らかの原因で鉄が体外に失われてしまうと不足してきます。閉経前の女性の場合は、生理の出血が原因となることが多いです。他には痔などで出血を繰り返しているとやはり鉄分が不足してきます。

【山に登っても大丈夫?】
 軽度であれば可能ですが登りはシンドイでしょう。酸素を運ぶ赤血球が少ないということは、その分だけ心臓が頑張って血液をたくさん流す必要があります。グループ登山なら、他の人について行くのも一苦労かもしれません。
 重度の貧血では心臓の負担が大きくなり心不全を来すかもしれませんので入山すべきではありません。年齢や性別などで個人差はありますが、ヘモグロビン(Hb)が10以下であったら要注意でしょう。ヘモグロビン(Hb)が9以下なら登山をする状況ではありません。きちんと貧血の治療をしてから山に登りましょう。
 高山病を起こしやすくなる可能性があるので、特に標高の高い山に行くときには注意が必要です。

【アドバイス】
 原因に心当たりがないのに貧血を指摘された場合は内科を受診して検査を受けておいた方がよいでしょう。胃癌や大腸癌が原因で貧血になっているケースも時に見られます。
 原因として最も多い鉄欠乏性貧血では、鉄分の補充が必要です。通常は病院で処方されると思いますが、赤血球(ヘモグロビン値)が正常になってからも潜在的に鉄分の不足は残るので、しばらくの間は鉄分の補充を続けておいた方がよいでしょう。


 

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