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山登りとダイエット
③登山ダイエットに潜む危険

《糖質を摂らないとどうなる?》
もしも、糖質を摂取せずに山登りを行うとどうなるでしょう?まず初めに、体内に備蓄されていた糖質の一部を使用しますが、全記事(②登山には糖質が必要)に述べたように脳が使う分もあるので、いずれ足りなくなります。すると人体は糖新生という反応によりブドウ糖(基本的な糖質)を作るようになります。

《糖新生で何がおこる?》
糖新生でブドウ糖を作る際、その原料となるのは筋肉のタンパク質です。つまり、飢餓状態で運動をすると脂質と同時に筋肉も減少するのです。大変重要な役割のある筋肉を消耗しながら山に登るということになります。これは、筋肉の疲労を早めることにつながり、転倒や疲労による行動不能をまねく危険があります。

《そのうえ、さらなる危険が!》
また、血液中のブドウ糖が常に不足気味になることで、脳の機能低下を来す可能性があります。そうすると、思考力が低下して様々な判断ミスを起こすことになります。「道に迷う」「天候悪化など危険を見過ごす」「集中力が低下して転倒する」などなど…登山中の思考力低下は遭難に直結します。登山中に空腹でバテる事を「しゃりバテ」と言います(しゃり=ご飯のこと)。バテてくると頭がぼうとなりますが、糖質不足により脳機能が低下している状態です。

《すなわち》
「行動前・行動中に食事を摂らずに山へ登ると、遭難を起こしたり、怪我をしたりする危険がある」
ということです。

それでは、登山でダイエットを安全に行うにはどうすれば良いのでしょう。

《初心者のうちは…》
山登りに慣れてくると、自分がどれ位の量を食べれば一日行動できるか、ある程度は把握できるようになります。初心者のうちはそれがわからないので、十分な量の食事(特に糖質)を摂るようにしましょう。登山で消費するエネルギーは膨大ですので、それでも十分にダイエット効果があります。

《まず、消費カロリーを予測してから》
冒頭で取り上げた消費カロリーの計算式

体重(㎏)×行動時間(h)×5

から、おおよその登山による消費カロリーを予測します。そして少なくとも5割、できれば7割程度のカロリーを摂取するようにしましょう。

《慣れてきたら…》
登山の目的としてダイエットに重点を置くのであれば、慣れてきてから少しずつ摂取カロリーを抑えていくと良いでしょう。その場合でも、予想消費カロリーの3〜4割は少なくとも摂取しなくてはいけません。あまり無理をすると、前半は良くても後半でバテが出てきてしまいます。

次に、具体的な食事のとり方を解説していきます。

次の記事:山登りとダイエット ④登山中の食事のとり方
前の記事:山登りとダイエット ②登山には糖質が必要


関連記事 山登りとダイエット
①登山の消費カロリー
②登山には糖質が必要
③登山ダイエットに潜む危険
④登山中の食事のとり方
⑤食料で注意すべき事

 

公開日: 最終更新日:2017/02/06